White Rainbow

ある日、霧の中で幻のクマと1匹の野良猫が出会った。

コロボックル



───その日は、いつもと何かが違った。

木の枝のような、先っぽに葉が1枚ついた鼻に、人間の子供くらいの背丈。

どんぐりのような瞳に、映るのは木々が生い茂る森。

この森をただ歩くだけで、僕は生きていると実感できた。



僕の目が覚めた時、大樹が言ったんだ。


「私は、もうじき枯れる。君に夢を託したい。」


僕は、新しい命なんだって。


森を歩いていると、いつもアイツに出くわす。

森を罵って、傷つけて、壊そうとするアイツ。


僕は、なんだかわからないまま、ただ止めさせたくて、アイツを攻撃した。


僕がやめろ!って叫んだ時、手には木の枝に似た細い棒が握られてるのに気づいて、とにかく力まかせに思いっきりそれを振ったんだ。

もう、手ごともぎとれるんじゃないかってくらい、思いっきり。


そしたら、アイツのそばに黒い光が現れて、アイツを飲み込んでいくんだ。

僕は、それを見てた。


何が起きたのかわからないまま、アイツは姿を消したし、黒い光も、一緒に小さくなって消えていった。


僕は、それを何回か繰り返した。

だから、今日もきっと同じだと思ってた。
力まかせに腕を振って、森を傷つけるアイツを消してやるんだ。

僕の姿に似た、アイツがどこに行ったのかもわからないまま。



「君は、本当にそれを望んでいるのか?」


少し、うつむいていた僕は、淀んだ空気を裂くように放たれたその声に、ハッと顔を上げた。

考えを見透かされている気がして。


「君は、その力の使い方をまだ理解していない。それは、ただの暴力にすぎない。」


顔を上げた僕が振り返ると、青い衣に身を包んだ謎の存在が、僕にまた話しかけてきた。

僕の知らない何かを知っていると、僕はこの時理解した。

「君に力を授けよう。ただし、その力はとても強いもの。決して使い方を間違えてはいけないよ。」


僕の目から、雫がずっと垂れていた。
あの時からずっと、止まることなく流れていたもの。

魔法使いを名乗る存在は、僕の頭に手を置いて、大きな手で雫を拭ってくれた。

僕の目から、今度は温かい雫が一筋、すーっと流れていった。


「これは、何?」

僕は、魔法使いに聞いた。


「それが何かは、再び流れ出して止まらなくなった時に教えよう。」


魔法使いは、温かいそよ風のような声で、僕をじっと見て、言葉を返した。


そうだ、この日は温かいそよ風と、森に眩しい光が射し込んだ日だった。


僕は、森で出会った温かい存在を「謎の魔法使いさん」と呼ぶことにした。

いつも、いつの間にかそばにいるから、本当に謎なんだ。
いろんなことを知ってる。


この、謎の魔法使いさんに会うために、僕は森を歩いていくことにした。


今日は、青空から雨がパラパラと降り注ぐ。

こんな日は、体は濡れるけどなんだか嬉しくなって、胸が踊るような気分だ。

謎の魔法使いさんに会ったら、このことを話してみよう。




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