White Rainbow

ある日、霧の中で幻のクマと1匹の野良猫が出会った。

幸せと糞の物語『心の闇』

コロボックルは、日記を書いていた。
その日あった出来事や考えていたことを記していた。

魔法使いさんからは、今まで書いたものに、ひとつひとつ、返事が書かれている。

コロボックルは、このお返事が楽しみだった。




あの日、紡ぎ出すように出てきた言葉が僕には不思議だった。

それは、心からの言葉だったから。

あれは一体、


コロボックルは、書きながら眠ってしまった。



───目の前に広がる暗闇。

風が向こうから吹いてくる。

コロボックルは、向かい風になる方へ歩いていく。

そのうち、進むのがやっとになってきた。

息はあがり、重くなっていく足。


やがて、向かい風は、たくさんの嘲笑を連れてきた。
アイツの声に似ていた。

コロボックルは、怒りに任せて歩き出す。

途端に、足をとられて転がった。

コロボックルは、驚いた拍子に、一瞬にして持っていた怒りを忘れてしまった。

一歩また一歩と歩いて行く、コロボックル。


すると、どこかで向かい風は追い風に変わっていた。


時折、背中を押すように吹く風は、「がんばれ!負けるな!」と言ってくれているようだった。


ふと、闇はひとつの光を呼んだ。

力をふり絞って、駆け抜けた闇。

コロボックルは、緑あふれる大地についた。


そこに、一際大きな風が吹いて、辺りは一変した。


空は轟き、大地は割れ、木々はざわめきながら引き裂かれて、たくさんあった緑はやがて枯れ木になっていった。


コロボックルが駆け出した先には、1本の大きな木。


風は、再びコロボックルを拒むように吹く。


たまらず、頬を伝った一筋の雫。

荒れ果てた大地に染み渡り、大きな木が応えるように枝葉を揺らすと、コロボックルの視界は緑でいっぱいになった。


「その涙は、生きてる温もりそのもの。」


それこそが、生命の輝き。


コロボックルの心に響く、魔法使いさんの声。


コロボックルは、目を覚ました。

日記には、夢の世界で聴こえた魔法使いさんの言葉があった。

前、書いてくれた言葉。

この日、コロボックルは時々、頬を伝っていく温かい涙を知った。


「僕は、生きてるんだ。」



どこかで誰かが、この涙を流す時。
きっと僕も一緒に泣いてる。

それは、僕の心に流れていくから。

そして、始まりの泉にみんな返っていく。

僕が湧かせたあの泉に。

星の輝きを手にしたみたいに、キレイな泉。

誰かのために流した涙は、それほど澄んでるって考えた。

僕は、生きてる温もりを、時々感じられる。
それは、たくさんのことを日々知って、感謝してるから。

この世界を歩いて行けること、生命があること、言葉が魔法を生み出せること。

本当に、よかったと思う。


魔法使いさんたちに会えて、教えてもらえる喜びは、日々の幸せだ。


コロボックルは、日記を閉じた。

お手製の小屋から出ると、コロボックルは静かな月夜の森を歩いていく。

今日は、不思議な満月。


魔法使いさんに、日記を渡せる時を思いながら歩く夜の森は楽しい。