White Rainbow

ある日、霧の中で幻のクマと1匹の野良猫が出会った。

幸せと糞の物語『喜び』


コロボックルは、木の枝を削って、高い音の出る楽器を作っていた。

この前、魔法使いさんに教わった方法で。


魔法使いさんは、ヴァイオリンと呼ばれる楽器で、とても軽やかな、走り出したくなる曲を奏でてくれる。


コロボックルは、その曲が好きになった。


口笛で奏でてみたら、魔法使いさんに邪悪なものを呼び寄せるからダメだって言われてしまったから、こうして楽器を作っている。


側には、何本か枝が転がっていた。


およそ半日かけて、完成した。

コロボックルは、音を奏でるのが好きだ。
静かな夜には、よくムックリを奏でていた。

今夜からは、この笛で魔法使いさんの曲を奏でてみよう。



喜んだのも束の間。

遠くから、罵声が響いてきた。

いつものアイツの笑い声も響いてくる。

草木をなぎ倒す音。
何かが走ってくる気配。

コロボックルは、騒音の正体を出迎えることにした。


飛び跳ねながら逃げてくるアイツ。

その後に、森の主とその仲間たちが続いて走ってくる。


コロボックルは、アイツが通り過ぎる際、片足を出して、サッとすぐにひっこめた。

アイツは、派手に転んだ。

その背中を、後に続く主たちが踏んでいく。

「あっ!思わず踏んでしまった!」

主らしき者は、一声あげた。


コロボックルは、のびているアイツに話しかけるように、言葉をかける。

彼方からの呼び声は、地面に黒い渦を見せる。

宙に浮く雫は、コロボックルが伸ばした手に染み込んでいった。


その様子を見ていた、森の主たちは驚いた。

「君が噂のコロボックルか!驚くほど、ヤツと姿がそっくりだな!」

コロボックルは、主たちを初めて見た。

森を歩いていると、木々が誰かの話を風と共に届けてくれていたが、それはこの角や尻尾がはえた動物たちのものだったと、声を聞いてすぐにわかった。

いつも、姿が見えなかった。

「やっと、会えた。」

コロボックルは、温かい雫が頬を伝っていくのを感じた。
その涙は、地面に落ちて、スーッと消えた。


彼らのことは、お互いに魔法使いさんから聞いていた。

お互いに、会ってみたかったこと、森の話、アイツの話。

たくさん話した。


そして、奏で始めたコロボックルの笛の音は、たどたどしくも森の奥に運ばれて、魔法使いさんのいるところまで届いた。


魔法使いの弟子は、コロボックルのものよりも低い笛を奏でていたが、扱いが難しく、口のあて方に苦戦しているようだった。

魔法使いさんは、アドバイスをしてあげた。

「それは、空気の吹き込み方が重要だ。」


魔法使いの弟子は、少しずつ、その綺麗な音色を空に響かせていった。


空には、たくさんの星が踊り始める。

ふたりの幼い笛の音を聴きながら。