White Rainbow

ある日、霧の中で幻のクマと1匹の野良猫が出会った。

幸せと糞の物語『森の音楽会』

コロボックルは、あの日から姿を現してくれた森の動物たちと、たくさんの言葉を交わした。


 太陽は輝き、そこにいる君を映してる♪


コロボックルは、歌をうたいながら森を楽しげに歩いていく。

それを見たイノシシが友達の鹿に、鹿から仲良しの蝶に、森の音楽会の開催が伝わっていった。

それは、動物たちへ広まり、魔法使いさんまで届く。

魔法使いさんは、ヴァイオリンを奏でて参加を喜び、魔法使いの弟子もまた、笛の音で応えた。

イノシシは、コロボックルに伝えに走る。
道中で、また何かを踏んだが特に気にならなかった。
あとから、卑しい笑い声が響いてこようとも、コロボックルのもとへ走っていった。


知らせを聞いたコロボックルは、花が咲いたように、笑顔を見せて喜んだ。


その日から、森には歌声が響き、森の奥からは綺麗な音色が届けられるようになった。

音楽会開催の日まで、それぞれがたくさん想いを描き、音に乗せて、たくさん練習した。


その声も掻き消される、深い深い森にも轟くような歌声が響き渡り、木々をざわつかせた。



───それぞれが納得いくほどに練習を重ねた頃。

とうとう、開催の日を迎えた。


コロボックルは、森の動物たちと共に、勇気がわくその歌声を空へと響かせた。

歌い終わった時には、笑顔で拍手を贈られた。
木々が風に揺れている様子は、まるで森が喜んでいるように見えた。


続いて、魔法使いさんと弟子が楽器を奏で始める。

魔法使いさんの奏でる力強い音色に、動物たちは身震いをした。
弟子の奏でる泣き声のような音色は、コロボックルの心を震わせた。
静かに響き渡っていく音色は、森に染み渡るように消えていった。
音が止んだことにも気づくのが遅れるほどに、皆が魅入っていた。
魔法使いさんと、弟子がお辞儀をして、初めてハッと我に返り、皆が盛大な拍手を贈った。
森にパラパラと優しい雨が少し、降った。


最後に、その場にずっといた、見たこともない異様な姿の者達が歌をうたってくれた。

その歌声は、凄まじく。
皆が仰け反るほどの重厚感ある唸り声。
それを指揮する者の金切り声は最も響き、耳に痛いものだった。

最後は、重なり合う壮絶な咆哮で締めくくられた。

「イャヘッヒッヒ!やりたかったんだぁ。これぇ!」

いつもの笑い声もまた、咆哮のように響いていった。
皆、心がざわつくのを抑えて、眉間にシワを寄せていた。


魔法使いさんが、一番に手を叩いて応えてみせたので、他の皆もマネをするように、手を叩いた。

まるで、うねるような拍手を浴びて、アイツは卑しく笑いながら去っていった。


「…アイツの歌声は金切り声か。」


コロボックルのため息は、心の声をつれていた。

まだ耳に残るその声に、コロボックルは嫌なものを感じ取っていた。



すると、遠くの空に花が咲き、魔法使いさんが一声あげた。

「た〜まや〜!」

その空に咲かせた大輪の中心には、アイツがいたように見えて、コロボックルは目をこすった。

近くにいたイノシシが、鼻でコロボックルの背中をつつきながら、あれは感謝の気持ちを表す魔法だと教え、嬉しそうにしていた。


「…素晴らしい魔法だ。」

魔法使いさんは、ポツリとこぼした。

そばには、弟子が怒りに震えていた。


コロボックルは僅かに震えながら、この日、自分のやりたいことが必ずしも誰かを喜ばせることに繋がらないことを知った。