White Rainbow

ある日、霧の中で幻のクマと1匹の野良猫が出会った。

幸せとクソの物語『小さな幸せ』

森が冷えて、動物たちがあまりその姿を見せなくなり始めた頃、コロボックルはわずかに寂しさを感じて歩き始めた。


ひんやりと冷たい大地に、いつもより澄んでいる、透明な空気。

コロボックルは、空から降る白いふわふわに感動を覚えて、目で追って楽しんでいた。

ふわふわ舞うように、地面に吸い込まれていくようにスーッと消えていくふわふわ。
コロボックルには、それが不思議だった。

「…涙とは違うのかな。」

手にとってみたくなって、掴もうとしてもなかなか掴めない。


ふと、笑い声が聞こえて辺りを見回すと、おネコさまがいた。

おネコさまは、軽く体を震わせて、ふわふわをあちこちに飛ばした。

「これは掴もうとすると、掴めないにゃ。ワガハイの体についていたものは、ユキというにゃ。お前の体にも既についているにゃ。手のひらを上に向けてじっとしてるにゃ。そうすれば、お前の望みは叶うにゃ。」

おネコさまの言うとおりにしてみると、コロボックルの手のひらに、ユキがまるで降り立つように、たくさんついていった。

コロボックルは、頬を緩ませて喜んだ。


おネコさまは、「結晶」と呼ばれるものを教えて、森の中を小走りで駆け抜けていった。

コロボックルがユキと戯れているうちに、すっかり森は白くなり、大地を歩くと跡が残るようになっていた。

コロボックルは、背後に小さな気配を感じて、時折、振り返りながら魔法使いさんの元へ歩いていく。

この日は、魔法使いさんから小屋に来るように言われていた。


森の奥へ歩いていくと、周りがキラキラとしてきて、楽しげな音楽が聴こえてくるようになった。

コロボックルは、楽しくなってきた。
すると、小屋が見えてきて、魔法使いさんが出迎えてくれた。

「いらっしゃい。雪がチラついてきて心配していたよ。お友達もどうぞ。」

コロボックルは、初めて背後の存在をその目で見れた。
ここまでついてきていたことに、とてもビックリした。

そこには、白い塊がいた。

魔法使いさんは、「ゆきんこ」と呼んだ。

弟子は大喜び。
ふたりは、小屋の中に招かれた。

「イランカラプテ」

魔法使いさんは、魔法を使った。

すると、小屋の電気は消え、鮮やかなライトの灯りに彩られた。

これに、弟子もコロボックルも、ゆきんこもそれぞれに喜びを表現した。

ゆきんこは、小屋の中なのに粉雪を降らせた。
弟子は音楽を流して、コロボックルは楽しげに踊ってみせた。

魔法使いさんは再び魔法を使う。

「イヤイライケレ」


コロボックルに、魔法使いさんはウインクを披露した。

コロボックルには、魔法の意味がわかっていた。
弟子は、手を叩いて笑顔を見せた。

みんなと楽しく過ごすこの日は、魔法使いさんから「クリスマス」ということを教えてもらい、イラストの描かれた本を1冊読んでもらった。

そこには、クリスマスを楽しみにするたくさんの動物たちの子供が描かれていた。

お話が終わって、ふとゆきんこの気配がなくなって、コロボックルと弟子は探し始めた。

魔法使いさんは、小さな水たまりを見て、そこへ呼び、ゆきんこの正体をふたりに教えてあげた。

「ゆきんこ、帰っちゃったの?」

「また、会えるかな?」

コロボックルと弟子は、寂しそうに聞いた。


魔法使いさんは、大きく頷き、今日みたいな日に会えると話した。

ふたりは、安心したように顔を見合わせていた。


コロボックルが帰る頃、空には星が瞬き始めていた。

吐く息も白く宙に消え、一段と寒さを増していたが、降る雪は止んでいた。


小屋を出たところで、コロボックルは弟子から毛糸のマフラーを首に巻かれ、弟子のしている手袋と同じ柄であることに喜び、魔法使いさんからも同じ柄の帽子を被せてもらった。


「気をつけていきなさい。」


その言葉と弟子の手を振る姿に感謝をして、コロボックルは暗くなってきた森をひとり、歩き出した。

心にも、確かな温もりを感じながら。




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