A White Rainbow

創作をする人の日常と考え事の壺。

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幸せとクソの物語『幸せの色』

冬が訪れて、すっかり静かになった森。

魔法使いさんは青の研究を続け、この日もフラスコに虹色が光る。

机には、雨の本、空の本、水の本…。
たくさんの青を知り、それでもまだ魔法を生み出せない日は続いていた。


魔法使いさんには、時間がなかった。

この森が元気になる日を夢見て過ごしてきた日々。
その時が来る、不思議な時の流れを感じるようになったのは、コロボックルと弟子の成長を見る時だ。

コロボックルには、最大の試練が待っている。

その時、自分が何ができるのか。
弟子に内緒で、いつからか考え始めていた。

すると、微かにきこえてきた歌声。

弟子が何やら暖炉の前で歌をうたっている。


♪何かひとつ古いものを それはあなたの大切なもの
それともうひとつ 何か新しいもの それがあなたの日々
さらにもうひとつ 何かを借りましょう そこにあなたの涙あり
最後に私から この歌を贈りましょう 笑顔のあなたを映して いつもそこにあるものに魔法をかけて

最後に、自ら笑ってみせる弟子。

魔法使いさんは微笑みながら研究に戻ると、空を映したフラスコに、手で拭った涙を落とし、弟子が育てた花の中からガーベラを見つけ、それぞれをフラスコにかざし、フリフリして花の色をもらい、弟子の歌を口ずさんだ。


まるで、虹が架かるような音を発して、フラスコの中身は透明になった。


魔法使いさんは、泣いていた。


「…ありがとう、喜び。生命の魔法。」



この日、魔法使いさんは、引き出しから便箋を取り出して、1枚の手紙を書き上げた。



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