A White Rainbow

創作をする人の日常と考え事の壺。

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幸せとクソの物語『新しい色』

あれからいくらかの月日を刻み、魔法使いさんの傷はすっかり良くなりました。

傷跡までは消えないけれど、魔法使いさんは元気な様子で今日も森を歩いて行きます。


森の闘病日誌は、途切れることなく記されていました。


森に毎日のように響いていた、かつての卑しい笑い声のこと、自分の心にある言葉、森で過ごす日々。

それらは、新たな魔法となって、時折コロボックルを笑顔にしました。

魔法使いさんには、それが喜びとなりました。


妖精たちは、そんなふたりの様子を嬉しそうに見守りました。

コロボックルの傷も、魔法使いさんが良くなるのと同じ頃、治りました。
傷跡が見えないようにと、妖精たちによって腕には魔法の包帯が巻かれました。


コロボックルは、その傷跡に誓いました。

「僕は、もう二度と森や魔法使いさんを傷つけたりしないよ。」

妖精たちは、ぼんやりと光るものを見せて厳しい表情で言いました。

「お前の傷は消えないだろう。けれど、森は再生し、それがお前の心になる。」


コロボックルは、頷いて妖精たちに頭を下げました。

魔法使いさんは、木々の葉から落ちる雫に気づきました。


見上げれば、葉が少し色づいていました。


魔法使いさんの心が弾みました。



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